財団法人慈光会 前理事長・医師 梁瀬 義亮
(一九八四年七月一日 慈光会第十回定期大会での講演記録です)
今申しましたことのほかに憂うべき問題は国民の骨が柔らかくなって骨折が非常に多くなって
きた、特に子供の骨折が考えられない程増えて来ていること、重症身体障害児や精神薄弱児及び奇
形児がどんどん年を追って増えて来ていることです。文献によりますと現在東京では二十六人に一
人奇形児が生まれるということです。このように日本民族の生命力は非常に低下しているという徴
候が顕著であります。このままいったら民族の自立が不可能になるという公算が高いのです。それ
なのになぜ平均寿命が延びるかと申しますと、これは生命力が旺盛になって国民の平均寿命が延び
たのだったら非常にめでたいのですが実はそうではないのです。今の平均寿命の延長は一時現象で
あって、抗生物質、所謂色々なマイシンや設備のお陰で外界からのバイキンの侵襲や気候の変化に
弱い赤ん坊や老人が肺炎とか腸炎で死ぬことが非常に防げるという事の為に、統計的には平均寿命
が延びたのです。確かにお年寄りが長生きしておられます。けれどもお年寄りが八十〜九十歳迄長
生きして亡くなってゆくと共に最近四十〜五十歳の人がばたばたと亡くなるのを皆様お気づきでご
ざいましょう。なぜかといえば抗生物質のお陰でバイキンによって死ぬ患者は防げる代わりに、新
しく公害による病気によって死にだした訳です。公害(農薬や食品公害等の合成化学薬品の人体侵
入)によって大体三十年乃至四十年位で亡くなってゆくのですが、昭和三十年位から公害が起こっ
て来たのですから、国民は今老いも若きも総て公害年齢は三十歳です。だから今八十歳で亡くなる
方は昭和三十年に五十歳であって、それから公害をうけかけて公害年齢三十歳の八十歳で亡くなり
、今五十歳で死ぬ人は昭和三十年に二十歳であった人で、今公害年齢三十歳の五十歳で亡くなって
居るわけです。これで皆様八十〜九十歳の人と一緒に四十〜五十歳の人が亡くなってゆく理由がお
分かりでしょう。元来年寄った人から亡くなってゆくのが自然ですが今はそうではなくて、老いも
若きも一緒に亡くなってゆくという現状です。だからこのままゆきますと、今四十歳〜五十歳で亡
くなっている方が将来の日本人の平均寿命になります。非常に憂うべきことであって、こんな事は
あってはなりません。早急に我々が努力しなければならないのです。今これが一気に政治的に解決
すれば非常に結構なんですけれども、色々な複雑な事情の為に国民の世論を上げて、国民の世論に
よってこれを解決する以外に解決方法はないのでございます。ちなみに農林水産省の非常に良心的
な学者に西丸震哉先生という方がおられます。この先生は非常に早くから日本民族の将来を心配せ
られまして現代社会のメリット(良き点)とそれからデメリット(悪い点)を全部コンピューター
に打ち込んで来たのです。そして今から約八年前にそのコンピューターの答えを聞きました。その
答えはその時から三十年先には日本人の平均寿命は四十歳を割る、国民は五千万人死亡するという
ショッキングな答えで西丸先生御本人も大変びっくりなさったわけです。勿論このようなことはあ
ってはならないことです。けれども日々診療させていただいて、そのつもりでじっと見ております
と、このことの起こる公算が極めて高く憂いに堪えないのでありまして、慈光会の運動が、国民の
世論の昂揚の運動として益々活躍させていただかなければならない時が来ておるのでございます。
肉や卵の医薬品汚染に十分ご注意ください!
3月の慈光会学習会(テーマ「今、私たちの体に起きている奇妙な出来事」)で、肉や卵等の汚染
(餌に使用される防腐剤や、動物用医薬品として使用されるホルモン剤、抗生物質等によるもの)
について学びました。
この汚染について日本の現状はどうなっているのでしょうか?
日本では、94年に、それ以前までは畜水産食品に残留が認められなかったホルモン剤、抗生物
質、合成抗菌剤など(合計7品目)の残留が許可されるようになりました。これらの動物用医薬品
は、えさへの混入や注射によって家畜の体内に入り、家畜の肉に残留し、それを食べる人間の体に
侵入してきます。このようにして侵入してきた医薬品により、「ガン、アレルギー、薬物耐性」と
いった深刻な問題が起こってくるのです。 癌やアレルギーについては、私たちもある程度聞いた
ことがありますが、「薬物耐性」という言葉はあまり聞いたことがありませんね。
これは、私たちの体に肉や卵などと一緒にいつも動物用医薬品が入って来ていると、病気にな
った時、投与した薬が効かなくなってしまうことをいいます。(「消費者のための資料・動物葉の
本」参照。東京弁護士会、公害、消費者問題対策特別委員会刊)
これは、大変大きな、そして命に関わる問題です。そしてもっと大勢の人に知らされるべきこ
とです。
動物用医薬品に関して、国外での事情はどうなっているのでしょうか?次の記事をご覧くださ
い。動物用医薬品のホルモン剤に関して、アメリカとヨーロッパで大きな認識の差があることが分
かって頂けます。併せて、アメリカ産の輸入牛肉に関する規制の現状も報じられています。
「家畜用ホルモン剤の危険性」
(消費者リポート一〇九五号『レイチェルズ健康環境ウィークリー』抜粋)
《アメリカでは、約90%の肉牛用の牛に、成長を早め味をよくするために、何らかの性ホルモ
ン剤が投与されているという。3種類は天然由来のもので,3種類は化学合成のもの。(この
ほかに成長ホルモンも投与されている。) EUでは、どの家畜にも性ホルモン剤投与を禁止し
ているのだが、アメリカはこれを貿易障壁だと主張している。
アメリカ側は、性ホルモン剤は、女性の乳房や子宮など、ホルモンに影響されやすい細胞
の発癌性だけに関係し、しかもその量は「しきい値」が存在するとして、それを越えるものだけを
取り締まればいいと主張している。
ところが、4月(二〇〇〇年)にEUの科学委員会が出したレポートは、性ホルモン剤は
全く異なったメカニズムでガンを引き起こす可能性があると主張した。DNAに直接作用するのだ
という。さらに「ホルモン・フリー(ホルモン剤を使用していない)」とされる牛肉を抜き打ち検
査したところ、その12%から性ホルモンが検出された。アメリカの規制というものが、かなりいい
かげんだということがわかる。》
この記事を読むと、輸入の肉類にも注意が必要であることがわかります。
これから肉、卵、魚(養殖魚)を購入するときは、動物用医薬品が使われていないかを十分に
チェックし、使われていない物を購入するのが安心なのですが、現在、動物用医薬品は表示義務が
ありませんから、消費者にはチェックする手段が全くありません。十分に信頼のおける生産者と直
接提携するか、そのような運動を行っている消費者グループに分けて頂くか、方法は限られてきま
す。(慈光会で扱っているものは、全て、動物用医薬品を使用していません。)どのような方法を
取るにせよ、安全な「肉、卵、魚」を購入することは、消費者の健康を守ることになるばかりか、
現在の薬漬け畜水産業に「ノー」の意思表示をすることにもなるのです。
自然な姿からどんどんかけ離れてゆく畜水産業は、家畜を「アニマルマシーン」と呼び、「生
物である家畜を工場生産物のように扱う」と、識者からの批判が出るような情況にあります。狭く
暗い畜舎に押し込められ、外気にふれることもかなわず、病気にならないように抗生物質を、ノイ
ローゼにならないように精神安定剤を投与され、又、ホルモン剤によって不自然に太らされている
家畜たち。
先般、木次乳業(慈光会で扱っている牛乳やチーズの生産メーカー)がテレビの番組で紹介さ
れ、牛たちが山あいに放牧されている様子が映し出されていました。大自然の中で、草を食(は)
む牛たちの、のどかな風景と共に山道をかけまわる牛の映像が映し出され、木次の牛たちの敏捷性
におどろかされましたが、運動も自然のえさも十分に足りている牛だからこそ、おいしくて安心し
て頂ける牛乳ができてくるのだと、心より納得させられました。
大自然のサイクル、生物のサイクルに沿った農業と畜産業を守り育てるためにも、消費者であ
る私たちは動物用医薬品漬けの商品に「ノー」を言い続けたいと思います。
梅の活用をお勧めします。
梅の実には古来から優れた効用があると伝えられてきました。特に、食べ物が腐りやすく体調
が崩れがちな今の季節は、梅干し、梅ジュース、梅ジャム、梅肉エキス等様々な形で毎日の食生活
に梅を取り入れ、健康増進に役立ててはいかがでしょうか?
そこで、医学的、栄養学的に梅の効用について述べられた本を調べてみました。
《梅は、二日酔い、腹痛、下痢、胃弱、風邪など、多方面でその効果を発揮します。
又、梅には、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、カロチン、ビタミンB1、 B2、C、カルシ
ウム、カリウム等が豊富にあります。
梅干しの酸っぱさはクエン酸やリンゴ酸によるもの。クエン酸は、糖質の代謝を促進し、筋
肉の乳酸を燃やしてエネルギーに変える働 きがあります。
乳酸は疲れのもとである疲労物質ですから、梅干しを食べると疲れがとれるのです。さら
にクエン酸には、胃液にも劣らない強力な 殺菌、抗菌作用があり、胃腸の働きをサポートする
ので、食中毒の 予防にも効果的。おにぎりの具や、お弁当に使うのはとても意味のあることな
のです。梅干しを食べたときに出る唾液には、ガンや成人病のもとといわれる活性酸素を消す働き
もあります。》
(「キッチンの知恵」より抜粋 医学博士・管理栄養士 本多京子著)
気をつけなければいけないのが、添加物いっぱいの梅製品です。梅干しなどにも酸っぱさを緩
和させるために化学調味料を使ったものが多く出回っています。梅干し本来の効用は昔ながらの製
法(梅と自然塩のみ使用)のものにしか期待出来ないそうですから、御注意ください。
又、塩分が気になる方は、いただく前に梅干しをお湯に浸けておきますと、減塩することがで
きます。梅肉エキスや、梅ジュース、梅ジャム等という形で召し上がるのも一つの方法です。
いいことづくめの「梅の効用」。「梅干しは一日の難逃れ(朝、梅干しを食べれば一日無事に
過ごせる、意)」とか「梅干しを日ごと食べれば福を呼ぶ」という言葉もあるそうです。おおいに
毎日の生活のなかに取り入れてゆきたいものです。
慈光会の梅ジュースとみかんジュースは、どちらも慈光会が30年来完全無農薬有機農法で育て
た農産物100%で作られたオリジナル商品です。安全でおいしい本物の味をご賞味下さい。
梅ジュース 1本(1リットル)530円
みかんジュース 1本(1リットル)700円
(消費税、送料別途)
それぞれ6本箱入りもございます。ご進物にもご利用下さい。