癌多発の恐怖の時代に如何に処すべきか!(6)
  


財団法人慈光会 前理事長・医師  梁瀬 義亮



(一九八四年七月一日 慈光会第十回定期大会での講演記録です)

今一つ注意すべきことは、皆様は野菜や果物を食べなかったらビタミンやミネラルの欠乏を起こす
ことはよく御存じですが、野菜や果物はその栽培方法によってその成分に欠乏が起こっていると云
う事は御存じないのです。お医者さんも御存じない人が多いのです。化学肥料で栽培したもの、或
いはビニールハウスの中で栽培したものは、露地で堆肥で栽培した物に比べてビタミンやミネラル
の含量が遥かに少ないのです。これも体のオイル切れの一つの原因になります。この頃の子供は白
いご飯とハムとソーセージと卵しか食べない。そしてジュースやコーラを盛んに飲んでいると云う
ような生活の子が案外多いのですが、そのような子供は物凄いミネラルやビタミンの欠乏が起こっ
ているわけです。そういう子供は微生物に侵されて発病し易いし又ちょっとした発癌の要因、例え
ば放射能が降ってくる(自然の放射能もありますし、核実験による人工放射能も降ってきているわ
けです)こう云った我々には避けることの出来ない僅かの要因で発癌するわけです。放射性物質が
降ってきたから皆癌になるわけではないのであって、生活の正しくない人は早く放射能にやられる
わけです。この例は以前にも申したかも知れませんが、アメリカのネバダの実験場に於いて放射性
物質が漏れまして何十万という飼いウサギが死亡したのです。そのときにその付近の山にいる野ウ
サギの死亡状況を調べようと思って軍隊を使って山を調査しましたけれども、野ウサギは全然死ん
でおらなかった。しかもその付近には野ウサギの死体を食べるような動物もいないと云う事も確か
ですから、飼いウサギは放射性物質で死んだが自然の野ウサギは死ななかったのです。このように
生活によって放射能の受け方が違うのです。だから先程の子供のように烈しい欠乏状態にある子供
たちは発癌し易い状態にあるわけです。大人でも同様でございます。だから正しいバランスのとれ
た良い食事をすると云う事は癌予防にも大事なことなのです。ことに農作物を作るときに自然の堆
肥によって作った物は色々な養分、特に酵素が非常に多く味が良いのですが、こう云うものには不
思議な作用があって、健康によく又抗癌性もあると思われます。どうしても現在の化学農法を自然
農法に変えてゆかなければいけません。このことはもう日本中の農家の人は皆知っておられます。
実行はしていないけれども農業をやる人だったら誰でも堆肥による完全無農薬有機農法が一番良い
んだということは知っております。農協の指導と異常な市場の要請の為に実行できないだけです。
又、栄養学の立場からも、正にその通りなのです。
 もう一つの私等の体という精巧な機械の回転を悪くする要素として、毒物即ち合成化学薬品の
害があります。現在我々はこの毒の中に生きなければならない状態になっております。あらゆる農
作物は全部農薬で汚染されている。加工食品は添加物(化学薬品)を含んでいる、水が汚染されて
いる、大地が汚染されている、空気が汚染されている。正に我々は上から下から毒の侵入を受けて
生活しなければならないような大変な国になってしまったのです。このように合成化学薬品による
集団汚染は人類始まって以来初めての恐ろしいことです。
 昭和三十年以来、所得倍増と云うことのみを考え、国民の健康や生命と云う事を無視した誤っ
た政策によって、今やこのような状態になってしまったのです。野にいる野鳥が絶えてゆき、海の
中の魚が消えてゆくことは、やがて人間に起こってくることの前奏曲なのです。人間だって同じも
のを食べておりますからいつかはあのようになるのです。然も世界で一番甚だしい国が日本です。
このことを明記しなければなりません。我々は皆政治に関与するわけですが、そのことを常に頭に
おいて国民の健康、国民の生命、我々の子孫のための健全なる環境作りと云う一つの想念を政治に
持ち込まなければならないのです。その点どうぞお心に留めて頂き度うございます。
 以上のような訳で現在の世界、殊に我々の日本は非常に癌発生の要素に満ち満ちているわけで
す。しかしながら我々には少々のことは跳ね返してくれる生命力を持っておりますので、注意すれ
ばまだまだ防ぐことが出来るのです。この慈光会の運動はこういった癌やその他の退行性の疾患か
らのがれる運動でして、第二のノアの洪水とも云うべきこの毒の洪水の中の『ノアの方舟第一号』
なのであります。同じような舟が今北海道から九州まで全国に沢山出来つつあります。九州などは
我々より遥かに大きな団体になっております。その外中国地方、中部地方いたるところにノアの方
舟建設の必要を感じた人等が、今その建設をやっているのです。            
 (以下、次号に続く)

 

 


 

作物四季折々

 「キゥイはビタミンCの宝庫」      
 

〈キウイはもともと鳥の名前。ニュージーランドにキウイという名の鳥がおり、その姿に実の形が
似ていたので、キウイと名付けられました。
キウイはビタミンCの宝庫。キウイ1個に含まれるビタミンCは80mgと、1日に必要とされる量(
50mg)をはるかに上回ります。又、キウイにはアクチニジンという酵素が含まれています。これは
タンパク質を分解する働きがあるので、肉料理のときに食べると胃もたれの心配がありません。〉
 (「キッチンの知恵」より抜粋)
 キウイは収穫時は固く、追熟させてからいただく果物です。固めのキウイはリンゴと一緒にビ
ニール袋か紙袋に入れておくと、リンゴから出るエチレンガスによって熟成し、やわらかくなりま
す。又、コタツの中や日なたなどの暖かい場所に置いておいても追熟させることができます。よく
熟成したものは、大粒のブドウのようにあまくジューシィーで大変おいしいものです。
 キウイに豊富に含まれるビタミンCは、毛細血管を丈夫にしたり、鉄分の吸収を助けたり、風
邪を予防し、ストレスへの抵抗力をつけたりするなど、私たちの体内で様々な大切な働きをしてい
ます。不足すると、壊血病、貧血、成長不良など、深刻な病気を引き起こしますので、心掛けて摂
取したいビタミンです。
 最近ではビタミン類は錠剤やサプリメントで補う、という方も増えてきていますが、様々な栄
養素は、できるだけ食物から自然のまま頂くのが一番体によいのです。
 キウイを一日に一ついただけば、必要なビタミンCが十分に摂取出来るということですから、
手軽なビタミンC源として家族揃っていただきたいものです。(追記:最近では輸入されたキウイ
が増えていますが、輸入果物には沢山のポストハーベスト農薬《環境ホルモン農薬「ビンクロゾリ
ン」等:発癌促進疑惑〈学習会資料より〉》が使われています。又、国産のものでも、キウイを大
きくするためホルモン剤などの危険な農薬が使用されていますので、十分ご注意下さい。)

 

 

第四回 学習会「危険な輸入農産物」レポート(2)

 
 
2. 発ガンリスク第一位の輸入大豆
 「アメリカ科学アカデミーのデーターに日本人の食生活を当てはめてみると、日本人の発ガン
リスクの第一位は大豆である。」 という恐るべき結果が報告されました。このことは、ほとんどの
人に知られていません。日本で使用される大豆の九六%は輸入です。みそ、醤油、豆腐、納豆と、
大豆を原料とする食品は私たちの毎日の食生活に欠かすことができません。その大豆に恐るべき汚
染のあることが明らかになったのです。大豆にはポストハーベストとしてBT毒素(微生物農薬)
が大量に使われています。又、殺虫剤で環境ホルモン作用があるマラチオン(マラソン)も使われ
ています。さらに恐ろしいことには、日本では二〇年以上前に禁止された猛毒の農薬パラチオン(
ホリドール)がその栽培に使われています。どれくらい恐ろしい農薬か、ここで梁瀬先生が書かれ
た著書から、その部分を引用してみましょう。
《昭和二八年、私たちの地方の稲作にホリドール(パラチオン)が使われることになった。私は
驚いた。ホリドールは第二次大戦中ドイツで開発された有機燐性の毒ガス、サリンと同じもので極
めて猛烈な毒性を持っている。それは飲んだり呼吸したりすれば勿論、皮膚からでも浸透して人間
を斃(たお)すのである。戦時中、機械化部隊に属していて毒ガス教育を受け、又、兵隊の起こし
た毒ガス事故なども数々経験していた私にとって、これは大きなショックであった。−中略− 私
は必死になって人々に『ホリドールを使うな』と訴えた。》
 このように恐ろしい農薬が使われている大豆を、「大豆は体に良い」と信じて、積極的に豆乳
を飲んだり、心掛けて納豆、豆腐を食べてたりしている方は大勢おられることでしょう。しかし、
その原料が輸入大豆なら極めて危険ということになります。
 又、一方で、食べ物をアレルゲンとする子供の中で、大豆をアレルゲンとする子供は七〇%に
のぼり、卵二五%、牛乳二七%を大きく上回っています。このことについて、大豆そのものに原因
があるのではなく、輸入大豆に使われている農薬が原因である、ということを指摘するお医者さん
もおられます。
 アトピー性皮膚炎と大豆の関係について言えば、大豆に使われているポストハーベスト農薬の
BT毒素がその原因の一つであることが分かっています。BT毒素を扱う農民に多くのアトピー性
皮膚炎が発症しているからです。
3. 除草剤入りフライドポテトとポテトチップス
 ジャガイモの収穫時に除草剤が使われていることをご存じですか?
 ジャガイモの葉が収穫用の機械に巻き込まれて、収穫の邪魔になるため、ベーパムという除草
剤でまず葉を枯らして、地上を平らにしてから、機械で大規模にジャガイモを掘り上げるのです。
除草剤がかかったジャガイモは固くなり、傷になりにくい利点がある、というアメリカからのレポ
ートがありました。
 さらに、ジャガイモの発芽防止に別の除草剤、CIPC(IPC)が使われています。除草剤
は農薬の中でも大変毒性の強いもので、こんなものを収穫後にふりかけるという使い方は日本国内
では考えられませんでした。ビデオの中で、ヨーロッパの農民がCIPC入りの農薬を、ジャガイ
モに素手で振りかけている映像には驚かされました。発芽防止が目的ですから、収穫直後は勿論の
こと、その後も、防護服に身をかためたプロの手によって、CIPCは繰り返し貯蔵中のジャガイ
モに使用されていました。
 輸入ジャガイモは、子供たちの大好きなファーストフードのフライドポテトやポテトチップス
、スナック菓子に加工されます。現にそのような加工食品から、発癌性の疑惑のある除草剤や殺菌
剤が検出されています。輸入の冷凍ジャガイモからも除草剤が検出されたというデータもありまし
た。
4. 農薬まみれの輸入果物。 レモンティーにも農薬が溶け出して・・ ・
 
 喫茶店で出される香り豊かなレモンティー。でもその紅茶の中に、レモンに使用されたポスト
ハーベスト農薬が溶け出していることが分かったら、果たしておいしく頂くことが出来るでしょう
か?
 果物のポストハーベストの実態は次のようでした。
 ベルトローラーの上を転がってゆく、レモン、オレンジ、リンゴ、チェリー。これでもか、こ
れでもか、というほど次々スプレーされるポストハーベスト農薬は、ベトナム戦争でベトちゃんド
クちゃんという二重体児を生み出した原因と目される2、4−Dであったり、OPP、TBZ、イ
プロジオン、イマザリルといった、いずれも発癌性や催奇形性、繁殖毒性のある恐ろしい化学薬品
ばかり。バナナやパイナップルも、ベノミルのプールにザブッとつけられてから、さらに殺菌剤が
スプレーされていました。現地の労働者にもポストハーベスト農薬による多くの健康被害が出てい
る実態がレポートされていました。
 特に冒頭でご紹介したりんごは、ワシントンの環境保護団体が最も危険な農産物の第一位にあ
げるほど、危険な農薬が使われています。先に大豆のところで述べた「ホリドール」も使われてい
るのです。
 このような処理をされた果物は農薬まみれの皮のままジュースに絞られています。輸入のリン
ゴジュースから農薬が検出されているのも当たり前と言えば、当たり前のことでしょう。又、他の
輸入果物もジャムやママレードに加工されたり、ワインに仕込まれたりしています。すべてポスト
ハーベスト農薬入りの食品になってしまっています。ベビーフードからも農薬が検出されている例
がありました。
 給食にもキウイ、グレープフルーツなど、輸入果物は沢山使われています。輸入リンゴを児童
に皮ごと食べさせる等ということは、次代を担う大切な子供たちの健康を切り捨てている恐ろしい
実態です。
                          (以下、次号に続く)
(学習会で見たビデオを会員の方々に無料で貸し出ししています。慈光会で作成した資料もござ
いますので、是非ご利用下さい。一人でも多くの方にこの実態を知って頂きたいと思います。)