癌多発の恐怖の時代に如何に処すべきか!(10)
  


財団法人慈光会 前理事長・医師  梁瀬 義亮



(一九八四年七月一日 慈光会第十回定期大会での講演記録です)

  近代化学農法は、害虫は殺す、益虫も殺す、そして害虫でも益虫でもないものをも殺す、全部殺してしまう、最後には人間をも殺してしまう、これは奪い合い、殺し合いをしなければ生きられない次元の農法であって、人間の農法ではなく、畜生の世界の農法なのです。現代の唯物論的な三次元の世界というのは人間の世界ではないのです。それをご理解願いたいのです。

ここに直営農場のキャベツをひとつ見本に持って参りました。これは今云った高次元の場で作られたキャベツです。これは普通の店屋さんで売っているキャベツと形は似ておりますが全く違うのです。これは市販のものより高次元のものなのです。今の化学肥料と農薬で、殺すこと奪うことしか知らぬ農法で出来た農作物は低次元界、即ち人間よりもっと低い次元の世界の食べ物なのです。だから虫がつくのです。「このようなものは人間様の食べるものじゃありません。だから我々(虫類)がいただきます」というわけで虫がつくのです。それをまだ「虫類めっ!食ってはならぬぞ」と農薬で虫を殺して人間が食べて、そして病気になってしまうのです。このキャベツと市販のキャベツでは内容が違うのです。その内容の違いがビタミン、ミネラル、酵素、味、香り、日もち、こういった形に於いて、所謂生命力に於いて知られるわけです。ここにあるキューリも梅も皆、何の消毒もせずにこんなきれいな物が出来るのです。我々はこういう場を発見したのです。高次元の場の農法なのです。現在の農業の場と違うのです。変な教育で作られた頭で、今の人が考えておる場というものは皆奪い合いの場です。自分が取らなければ誰かが取る、だから俺が取るんだというそんな場しか今の人々は知らない。又そんな人間になるような教育が行われているのです。

けれども本来人間というものは、動物と違って過去を知り、未来を推測出来る生命体です。即ち三次元の奪い合い殺し合いの世界より、もっと高い次元の世界の生命体です。譲り合い、慈悲、愛、こういったものを我々は理解出来、実践することの出来る高い次元の場の生命体なのです。それを十七世紀以来の愚かな学者共が奪い合い、殺し合いによってのみ生存が出来るんだというような間違った錯覚によって、世界中の人を洗脳して人間を野獣化してしまったのです。今ここでもう一度振り返らなくてはなりません。殺し合い、奪い合いの三次元の世界、動物の世界を捨てて、共存共栄、慈悲と愛の高次元の世界を追求すること。これが唯一の生の文明の建設であることを。これは古今東西をとわず世界の叡知と云われる人々の等しく強調するところでございます。

 最近のアメリカの公害学者の言葉、これは以前にも申し上げましたが、今一度その言葉を申し上げて私の話を終わらせていただきます。『公害は科学によっては解決しない。一つの公害を科学、技術によって克服したならば、その技術によって又新たな公害が生まれる。公害を克服するもの、それは宗教である。即ち宗教を正しく理解した人間の心である。』御静聴ありがとうございました。  


 



「ガイア理論」ご存知ですか?
 
 


 今月は、イギリスが生んだ偉大な科学者ジェームズ・ラブロック博士(83歳)からのメッセージをお伝えしたいと思います。

 スプレーなどに使われてきたフロンガスが大気中を上昇し成層圏のオゾン層を破壊するということは、現在殆んどの人に知られていますが、そのフロンガスが大気中に蓄積されているのを世界で初めて発見したのがラブロック博士です。

 表題の「ガイア」というのは、ギリシャ神話の大地の女神の名前で、ラブロック博士は1973年にこの女神の名前を冠した「ガイア理論」という仮説を発表しました。ガイア理論の根底をなすのは、「地球上に生きる3000万種以上の生物、大気、海、岩石はそれらが全体としてひとつの大きな生命体のように地球環境を調整している」という考え方です。

 地球の気温、大気の成分、海水の塩分濃度などは生命にとって常に快適な状態に保たれています。これは考えてみると、とても不思議なことですね。その中の気温を例にとって考えてみましょう。気温を調節するシステムには分かっているだけでも何種類かあるそうですが、その一つに「水分が蒸発するときに地球の熱を奪う事によって、地上はちょうどよい気温に保たれている」というシステムがあります。水分が蒸発するところは、地表の70%を占める海からと、森の木々の葉っぱから。それから大地や草、生物からも蒸発します。海と森は特に重大な働きを担っているわけですね。それ以外のシステム(雲や雪、氷などによる反射、地球の自転によるものなど等々)が総合的に働き、ちょうど人間が体温を一定に保っているのと同じように、地球が自分の気温を一定に保っているということなのです。ラブロック博士はこの例にみるような「地球規模の調節システム」を「ガイア」と名づけた訳です。

 しかし、現在ではこの気温のシステムに異変が起きています。そのために、南極や北極で氷が溶け出したり、温帯である日本で今年の夏のような異常な暑さが続いたり、海水の温度が上昇して台風が大型化したり、気象に様々な大きな影響が出てきているのです。その本当の原因は、人類が、化石燃料の使いすぎや、フロンガスなどを作り出して環境にばら撒いてしまったことの為に、大気のバランスが崩れ、ガイアの自動調節システムが従来どおり働かなくなってきているからなのです。自然状態では現代文明社会のように大量の二酸化炭素が大気の中に放出されることはあり得ない訳で、フロンガスは、人間が作り出すまでは存在しない物質でした。

 人類はこの地球上において火や道具を使う唯一の生き物でした。その意味で人間の歴史は「一面では環境破壊の歴史」ということも出来ます。人間以外のすべての生物は環境に順応して生活してきましたが、人間だけが環境を自分に順応させて生活しようとしてきたからです。そして、どんなことをしても、大自然は無限にあらゆることを許容し、修復してくれると思い込んできました。しかし、今大自然の許容量にも限界があることが明らかになってきた訳です。気温調整システムだけでなく他のガイアシステム(大気の成分を一定に保つシステム。海水の塩分濃度を一定に保つシステム。水の循環システム等)も許容量オーバーになる可能性ああることを恐れなければなりません。

 「けれども」と、ラブロック博士は言います。「誰もこのことに本気で取り組もうとしないのです。よりよい未来のために自分に何が出来るか、もっと真剣に考えてください。」「大気に二酸化炭素を放出する化石燃料を燃やしているのも、環境を汚染する製品を買って使っているのもあなた自身です。あなたが必要とするから企業がそうした製品を作っているのだし、それを認めるような政府をみんなが選んでいるのです。ですからこれは、本当は一人一人の価値観の問題です。環境を改善できるかどうかは、私たち一人一人がよりよい生き方に転換できるかどうかにかかっているのです。」

 ラブロック博士はイギリスの自宅の周りの荒れた農地に手ずから木を植えて小さな森を作り出しておられます。博士の森は今では特別な手入れをせずにいても、自然に木が実生で生えてくるまでになりました。現に森の中を流れる小川の両岸にはたくさんの榛(はん)の木が自生してきています。米国のNASA(ナサ)から招待され最先端の研究を続けておられた科学者は、又、一方で大自然を愛し、畏敬し、自ら木を植え、自然保護の活動を実践しておられました。

 「30年後にはこの森はもっと大きく育ち立派になるでしょう。地球環境について研究する活動的な科学者になるためには、自然に親しむことが出来る環境に自分自身の身を置くことが大切だと思います。海や森を見たり、山に登ったり空気について考えるなど、地球の大自然を感じてください。頭で考えることも必要ですが、それはことの半分にすぎません。最近の科学では自然の中に身を置いたり自分の手を動かして測定をすることが忘れられがちですので是非こうしたことを大切にし、その上で常に広い視野から自然を見るように心がけてください。」後進の科学を志す人々に博士はこのようにアドバイスされています。

 博士が発表されたガイア理論では人類自身が自然の一部を構成しています。人類と自然とは決して切り離して考えてよいものではなく、ガイアの仕組みを共に支えあっているというのがその考え方です。しかし、人類が自然の一部として生かされてゆくためには、大自然の、精巧で不可思議な仕組みを、よくよく謙虚に観察研究し、理解した上で、その仕組みに沿って生活をしてゆく必要があります。さもないと、ガイアの微妙な仕組みはその平衡を失い、人類が生きるのが困難な環境に変わってしまうからです。

 既にオゾン層に大きな穴が開いていることが分かっている現在、私たちに何が出来るのでしょうか。博士は次のような課題とメッセージを私たちに提示しています。

ラブロック博士からの課題
◇あなたは地球の自然環境や多くの生き物たちに支えられて生きています。たとえ都会に住んでいたとしても、です。空気や食べ物、水、エネルギーなど、あなたの暮らしがどれだけ自然に支えられているか、そしてあなたの暮らしがどれだけ自然に負担をかけているか考えてみてください。
◇人類は地球の環境に大きな負担をかけています。地球温暖化などの深刻な問題も引き起こしています。これから先ずっと人類が地球の自然と共に生き続けてゆくためには、私たちは暮らしをどう変えなければいけないと思いますか?

ラブロック博士からのメッセージ
◇生命と地球は互いに関わりあいながら進化した一体のものです。若い人に分かってほしいのは、私たちは周りにあるすべての存在、木や大気や、雨などの森羅万象全てと深く繋がっているということです。即ち私たちが呼吸し生きていること自身が、このガイアのシステムの一部を成すことを意味しているのです。
◇皆さんには、ガイアのことや地球環境のことをいつも頭のどこかに置いておいて欲しいと思います。晴れた夜空を見上げると、天の川が見えます。それは星たちです。それを見て宇宙の中の自分たちの存在を考えてほしいのです。命あるこの地球は銀河系のなかでも特別なすばらしい星なのです。しかし私たちは地球をとても粗末に扱ってきました。他の生き物を滅ぼし大気を汚してきました。今こそ、皆さんもそして私も、誰もが、ガイアを大切にし、全力を尽くして守らなければなりません。それは私たち自身のためなのです。 
(参考:NHK放送「未来への教室」『いのちある地球に生きる』。但し、「未来への教室」制作班デスク 吉田氏より転載許可を頂いております。)




海抜400m慈光会直営農場より発信。
 
 

 農場便り 10月

 暑さ寒さも彼岸まで。秋、真っ只中。紺碧の空、心地よい風が刈り取りを終えた田甫を吹き抜ける。あきあかねもいつの間にか姿を消し、代わりに虫たちが今盛りと羽音を奏でる。(その音あまりに大きくて多少情緒に欠けるが…)  今年の猛暑には閉口した。我々の夏バテの救世主、あの逞しいゴーヤ(にがうり)までもが夏バテを起こし、黄色の花は咲けども結実しない日々が長く続いた。9月に入り朝夕幾分か涼しくなってくると、あちらこちらに小さな実が下がるようになった。・・・が時すでに遅し、暑い時期に苦い苦いゴーヤをいただくことは絵になるが、涼しくなって来た今日では何か気抜けした感じがする。

 今農場ではエネルギー旺盛なる夏野菜に代わり、清楚でつつしみ深い秋冬野菜が秋の日ざしを受けすくすくと育っている。白菜、大根、キャベツ等…。大根はお盆過ぎに播種、あの暑さにも負けず順調に成長し20p位までになったが今、全国の産地で発生している困り者の害虫、ハイマダラノメイガがつき全滅。それでも直営農場、協力農家で播種した作物は現在、害虫の猛攻撃を受けながらも力強く生育している。

 今年の夏の猛暑、これはエルニーニョ現象の影響らしい。専門的な事は分からないが、すべてが人為的な物事であるように思えてならない。人類が自分勝手にやりたい放題に生きて行く。そのしわ寄せはすべて自然におまかせ。いつの日か母なる大自然がヒステリー(?)を起こすのではと気がかりでならない。そんな身勝手な私達に自然からの恵みがいつまでも施されるのだろうか。

 秋の夜長、今一度大自然の尊さを見つめ直す時としたい。



作物四季折々『柑橘類』
 
 

 みかんなどの柑橘類(八朔、ネーブル、清見オレンジ、レモン等)は、実、袋、皮、全てに薬効があります。  柑橘類といえば、ビタミンC。例えばみかん2個食べれば1日に必要とされる量のビタミンCを摂ることが出来ます。ビタミンCには坑ウイルス作用があるので、柑橘類は風邪の予防に最適です。

 又、柑橘類の袋や白いすじにはヘスペリジンやナリンギンなどのフラボノイドも豊富。ヘスペリジンは毛細血管から血が染み出すのを防ぎ、血管を強くする作用があり、脳出血の予防に効果がある成分です。袋ごと食べられるネーブルや清見オレンジなどは特にヘスペリジンの効果が期待できます。

 そのほかカロチンの一種、β―クリプトキサンチンやカリウム、ペクチンなども含まれていて、柑橘類はガン予防にも役立つことが最近注目を集めています。

 又、柑橘類に豊富に含まれるクエン酸は体の疲労を回復するのに欠かせない物質です。朝、昼、晩と1日3回柑橘類をいただくと、効率よく疲労回復が図れます。夕食の焼き魚にレモンをかけるなど、少しの工夫で効率よくクエン酸パワーを活用いたしましょう。

 あるテレビ番組でクエン酸パワーをもつ食品のナンバーワンに「グレープフルーツジュース」が挙げられていましたが、グレープフルーツは100%輸入です。皮ごとジュースに絞るため、ジュースから危険なポストハーベスト農薬が検出されています。(OPP、TBZ,イマザリル、2、4−D等が輸出前に散布されます。)クエン酸パワーを得ようと毎日グレープフルーツジュースを飲むのはかえって危険です。

 くれぐれも「無農薬有機栽培」を確認してお召し上がり下さい。

              (参考資料:キッチンの知恵366日)