お便り紹介
今月は、NGOの中で活動中の石川さんからのお便りをご紹介させていただきます。このような若い方々を通じて、完全無農薬有機農業が世界に広がってゆくことを祈るものです。石川さんの益々のご活躍をお祈りいたします。
慈光会健康食品販売所御中
貴会におかれましては、益々ご清栄のこととお喜び申し上げます。
昨日、梁瀬先生の有機農法に関する英文冊子を郵送していただきました。ご丁寧にお電話まで自宅にいただいたそうで、留守のため大変失礼いたしました。 NHK放送の「こころの時代」ビデオも大変興味深く拝見いたしました。梁瀬先生の優しくも信仰に満ち、力強く話しかけるお姿に接することができて(画面を通してですが)、雲の上の存在であった方を、とても身近に感じることができました。梁瀬先生をはじめ有機農業の先人達は、機械化・化学化・装置化に象徴される近代慣行農業の地獄の側面を骨身に沁みて経験されているからこそ、各々が使命感を持って信じる道を歩まれたのだと知りました。
私はNGOという組織にぶら下がりながら、フィリピン・タイで有機農業に取り組んで三年になります。が、化成肥料による地力の低下も農薬の害毒も(話には聞いていても)自らが体験したわけではありませんから、手間暇を要する有機農業に完全には承服できぬまま黙然と土を耕しているといった状況でした。今回送っていただいた先生のお著書をじっくりと読み進めていくうちに、少しでも一人前の百姓になりたいと願うようになりました。
今月末にタイに戻り自然農業の研修を続けます。四月からはフィリピン・ネグロス島にあるNGOのデモンストレーション農場で現地調整員として働く予定です。この度は、年末年始のお忙しい時期にもかかわらず、私のために色々と細かなご配慮いただきまことにありがとうございました。貴会のさらなるご発展を心よりお祈り申し上げます。 横浜 石川宗郎
青汁とガン
アメリカの学者が行った実験にこういうのがあります。実験動物をA、Bの2グループに分け、A群には精製食(加工精製でなくなったビタミンやミネラルを薬品で補い、現在の栄養学では完全と思われる食事)を与え、B群には自然そのままの食を与えて、それらに発癌剤や放射線でガンのできかたを調べました。するとA群にはB群よりはるかに発ガンが多く、しかもより早く、より強くあらわれたそうです。これは、自然食のなかにガンを防ぐ作用のある物質が含まれていることを示すものです。
また、腸管の中に発癌物質を分解する酵素があるそうですが、その作用はアブラナ科の野菜を与えられるとグンと強められ、特にキャベツが強力に影響するというのです。とすると、キャベツの原種であるケール(編集註?ケールは、青汁の材料に最も適した野菜といわれている。)にも、当然同じことが言えるでしょう。
なお、京大泌尿器科吉田教授は、ねずみの餌に青汁(乾燥粉末)を加えて与えると、ガンの発生率が低く、病気の軽いことを、実験的に証明されています。
(「青汁は効く」より抜粋 遠藤仁郎著 主婦の友社刊)
※但し、青汁の材料は必ず完全無農薬有機栽培の野菜を使用すること。ほうれん草、うまい菜、モロヘイヤのように、蓚酸が含まれるものは使用しないこと。
農場便り 2月
如月に入り冬も終盤を迎えようとしている。梅の枝先には小さなつぼみが寒風に凍えながらも日増しにほころんできた。小鳥たちの動きも幾分か活発になり、木々を右に左にせわしく飛び回る。
隔月に開催される当会の農業研究会で平成15年度春、夏の生産計画を立てる。前年度の生産状況を振り返り、作柄の善し悪し、味、量、会員のニーズなどを踏まえ、本年度の生産を話し合う。勿論秋冬作の反省も同時に行う。
話の中、平成14年度産温州みかんの話題も上がる。今年は今までにない良作で味もピカイチである。全国に発送し、送り先の会員様からもお褒めの言葉をいただきうれしい限りである。そのみかん栽培を一手に担っていただいているのが、和歌山県粉河町の協力農家の中田さんご夫婦である。果樹園芸を中心に蔬菜、稲作と幅広く栽培されている。晩生みかんはすでに収穫され、土蔵の中に保管され逐次出荷していただいた。有機栽培された作物は個々すべて顔、形が違うのに対し、近代農法の作物はどれも皆同じ顔、形に見える。どうしてなのだろうか、ある人に尋ねたところ次のような返事が返ってきた。『栽培中に使用された何種類かの農薬が植物のホルモンに作用し形や色が均一化される』ということである。近年人の顔や姿が昔の人に比べ同一化しているのは農薬や添加物を使った食品による影響なのだろうか。
1月下旬よりお目見えする柑橘類の一つに八朔がある。近年八朔の栽培は激減している。その理由の一つとして新しい他品種が次々出て来た事がある。いただく時に頑固な皮を剥く作業は女性や子供にとってはかなり力を要する作業のようだ。渾身の力を指先に込め剥き終えホッと一息。しかし次の作業が待っている。白皮を取り袋を剥く。現代人には相当の忍耐が必要になる。そこで出没したのがポンカン、伊予柑などで皮は柔らかく袋のまま口にすることが出来る。利便性のみを追求する現代人にとってはお誂え向である。手間をかけ実を取り出した八朔をやっと口に含んだ時、今までの面倒が頭から消える。多汁で程よい酸味と糖度がバランスよく、後でほんのり口に残る苦みが人気種にはない爽やかな味わいだ。柑橘類は抗ウイルス作用があるビタミンCを多く含有しているので、今年猛威を振るっているインフルエンザ予防には最適である。八朔は実だけではなく皮もマーマレードにすることが出来実も皮も余す事なく利用出来る。当会は多品種に押されつつある八朔をこれからも絶やす事なく栽培、販売していきたい。
まだまだ寒い日が続くが日差しは確実に春へと向かっている。半月もすれば梅の花もほころび甘酸っぱい香りが春風に乗って運ばれることだろう。厳冬を乗り切った動植物、そして人々に自然からのプレゼントの春はもうそこまでやって来ている。
マーマレードの作り方
柑橘類の皮を短冊型に薄く刻み数回ゆでこぼして苦みを取る。十分煮て柔らかくなったら実と一緒にし、砂糖を加えてジャム状に煮詰める。砂糖の量などはお好みで。砂糖が少なめのときには、保存は冷蔵庫で早めにいただくこと。オリジナルの手作りマーマレードをお楽しみ下さい。