「もう怖くて、二度と合成洗剤は使いたくないですねえ!」
学習会が終わって散会になったとき、参加した方々は口々にこう話しながら帰っていかれました。
ある学校の先生は
「今日出席した方は全員、合成洗剤の恐ろしさを心底納得したんじゃないですか。講師の先生のお話しは分かりやすくて説得力がありました。私の学校にも来てお話し
して頂きたいです。」とおっしゃっていました。
添加物や農薬についてもそうですが、合成洗剤に関しても「知らない程怖いことはない」のが現代です。
読者の皆様はご存じでしょうか?合成洗剤が「乳化剤」と名前を変えて、化粧品や食品の中にも沢山使われていることを・・・。
それでは合成洗剤がどのように怖いものなのか、講師のお話しを軸にしてアウトラインを以下にレポートさせて頂きましょう。
1999年、国は354種類の化学物質を有害と指定した法律を作りました。(PRTR制度:脚注参照)驚いた事に、その中に合成洗剤の主要成分が6種類も含まれて
いるのです。自宅にある洗濯洗剤、食器洗い洗剤の裏側の表示をご覧になってみて下さい。「LAS・AE・アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム・ポリオキシエチレン・
アルキルエーテル」などと記してあったら、それは国が指定した有害物質に他なりません。
来年からは合成洗剤に図のような「国際有害マーク」がつけられる事になりました(国連決議による)。有害マークの意味は次のようになっています。
(1) 感嘆符(触れると皮膚に刺激を与えたり、目を痛めたりする恐れがある)
(2)ひび割れた人体(健康への有害性がある)
(3)仰向けの魚と木(川や湖など水環境に有害である)
学習会では、私達が朝起きて、歯磨き洗顔に始まり、洗濯、食器洗い、シャンプー、ボディソープなど、どれ程多くの合成洗剤に囲まれて暮らしているかを改めて検証し、
その危険性を学びました。合成洗剤は私達の体に有害なだけでなく、環境にも有害なのです。微生物の細胞膜を破壊してしまうので、環境の浄化作用を奪ってしまうのです。
又、分解されにくいので汚染は最終的に海にたまり、魚介類を死滅させ、その収量を激減させるなど、深刻な影響が出てきています。現在、合成洗剤の成分は川や海で残留物
として沢山検出されているのです。
一方、石けんの安全性は、3000年前から使われている長い歴史の中で証明されています。しかも石けんは環境に流れ出すと「カルシウム石けん」となって水中生物のえさ
になります。そして一日で分解されて自然に返るので、川や海のどこからも石けんは検出されないのです。
合成洗剤と石けんの人体に与える影響について次のような例が講師から紹介されました。30年前の出来事ですが、お父さんが粉ミルクと間違えて合成洗剤を溶いて、赤ちゃん
にあげる前に試しに自分で飲んでみたところ、そのお父さんが死亡する、という事件が起きました。では、石けんを誤って飲んでしまった場合はどうなるのでしょうか?石けんは
油と塩(アルカリ分)で出来ています。
飲んでしまった場合、そこに胃酸という酸が加わることになりますから、「油+塩+酸」で「ドレッシング」が出来上がることになります、と講師はユーモアたっぷりに話されま
した。
同じように汚れを落とす目的で使われる合成洗剤と石けんですが、その性質と安全性には天と地ほどの差がある訳です。
又、合成洗剤と石けんを見分ける方法も教えていただきました。洗濯洗剤と食器洗い洗剤は容器の裏を見れば「合成洗剤」「石けん」と明快に表示があります。消費者はこれを
見て判断すればよいわけです。こちらは経済産業省の管轄です。
ところが、シャンプー、リンス、化粧品、医薬部外品などは厚生労働省の管轄で、同じ内容物でも「合成洗剤」「石けん」という表示が用いられていません。全成分が名前で
表示されるので、消費者が見分ける方法を知り、自己責任で判断することが必要になってきます。この方法も教えていただきました。
(詳しい資料は会員の方に差し上げています。)
もっとも驚いたのが、次の例です。今、誰もが気楽に使っているファブリーズ等の消臭剤が「トリクロサン」という化学物質を含み、それが、人類が発明した最強の毒物
「ダイオキシン」の一歩手前の物質であるというのです。出かけるときに、ファブリーズを撒いてゆくと、留守の間、トリクロサンはお日様に照らされ熱が加わって
ダイオキ
シンに変化し、帰宅したときには、部屋のなかにダイオキシンが出来上がっている、というのです。このことを講師が話された時には、会場にどよめきが起こりました。多く
の方に是非この事実を知っていただかなければ、と思います。皆様も周りの方々に是非お伝え下さい。
もう一つ懸念されるのが合成洗剤による水道水の汚染です。上流で使われた合成洗剤は川に流れ込み、下流の人々はそれを浄水場で漉して飲料水にしています。しかし、現在の
ところ、合成洗剤のような化学物質は浄水場で取り除く事が出来ません。(学習会ビデオ参照)私たちの飲み水には確実に合成洗剤が入ってきているのです。そういう意味で、
合成洗剤を使う人が加害者であると同時に被害者でもある、被害者になると同時に、加害者にもなる、というのが現在の構図です。毎日毎日摂取することが欠かせない飲み水に、
合成洗剤のような化学物質が入っているのですから、その影響は恐ろしいものになるでしょう。日本で一番川の汚染が大きい大阪府に、全国で一番ガン患者の数が多い、という
データーも、水の汚染が影響しているのではないかと懸念されます。このように影響の大きい水の汚染の、被害者にも加害者にもならないために「合成洗剤は使わない」、という
決意と行動が、さらに重要になってくる訳です。しっかりと情報を収集して賢い消費者にならないと、家族の健康を守れないのが現代という時代と言えましょう。
次号では講師のお話のなかから、町ぐるみで合成洗剤を止めて石けんに切り替え、見事に復活した地域のお話をレポートいたします。
(脚注:PRTR法:化学物質排出把握管理促進法
有害性のある化学物質がどのような発生源からどれくらい環境に排出されたか、というデーターを把握し、集計し、国が公表するしくみ。欧米では早くからこうした制度があり
ましたが、日本でもようやく施行され、化学物質を減らすための取り組みが始まったといえます。)
慈光会では、学習会に放映したビデオ、講師のお話を録音したオーディオテープ、慈光会が作成した資料、講師が学習会の時参照した資料を会員の方に貸し出ししています。
(資料は差し上げています。)食品の中に使用されている合成洗剤(蔗糖脂肪酸エステル等)や化粧品に使われている合成洗剤など一般には知られていない情報がたくさん
ありますので、会員の皆様は是非ご利用下さい。
農場便り 4月
4月のそよ風が頬を撫でる。モンシロチョウ、ミツバチ、花アブが咲き競う野の花の蜜を求め、花から花へと飛び回る。
作業中、額にうっすら汗がにじむ。この季節、時折吹く春風が心地よい。田や畑のあぜ道には、ハコベの白、ふぐりの青、仏の座の紫、たんぽぽの黄色、すべての花の色が幾重にも
重なり合う。花は春の太陽エネルギーを美しい色へと姿を変え、私の目を楽しませてくれる。
農場の雑木林にふた抱えもあるほその木がある。幹は天高く青空へと突き刺さる勢いで伸び、太い根元にはコケがびっしり宿る。ほその木はクヌギに似ており、木肌はクヌギよりも
いささか白い。太く、高く伸びた枝にはたくさんの鳥が集まり、楽しそうに遊び、時には羽を休める。体の小さなメジロ、エナガ、山ガラ、シロジ、ヒガラ、ウジロ、青ジ、ベニマシコ、
ウグイス、初夏にはカッコウの声も聞こえる。コゲラが枯れ木を絶え間なくつつき、乾燥した音が林の奥深くまで響き渡る。草むらでは大きなキジが頭を持ち上げ、甲高い大きな声で
鳴き、毛を逆立てて大きく膨らむ。大空高く鳶が獲物を探し旋回を繰り返す。 ほその枝先は大きくほころび、新芽をのぞかせる。
5月には新芽の薄緑色が青空と溶け合い淡い、その色彩が大自然のキャンバスに色を添える。3、4月には春、夏作の播種期で色々な種類の種が土へと撒かれ、一粒一粒の小さな種に
生命が宿っていることに不思議な世界を感じる。大地に落ちた種は、条件が揃うと発芽、発根し、大きく育ち、人々を養ってくれる。農場の隅にくず野菜の捨て場があり、その中に半分
腐ったジャガイモが捨てられている。冬を越しそのシワシワになった肌に芽が覗く。目に付いたいかなる物をも紹介するのが農場便り、今回はこれもご縁と世界中で食されているジャガ
イモを取り上げさせていただく。
ジャガイモの原産国は南アメリカ、アンデス山脈の高地で、ナス科、多年草。2世紀以前より栽培されており、16世紀にヨーロッパに持ち込まれた。日本には1596年頃オランダ人
によって長崎に伝えられた。サツマイモよりも早い時期に伝えられ、ドイツでは度々起こる冷害から多くの民を救った。別名は「馬鈴薯」。その名の由来は、馬の首につける鈴に似てい
ることからこの名前がつけられた。成分はデンプン質が20%、タンパク質はグロブリンの一種のチュペリン、他にもカリウム、リン、鉄、カルシウム、ソラニン、トリプトファン、ビタ
ミンA・B1・B2、チロシナーゼ等が多く含まれており、バランス食品である。薬効もあり、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、アレルギー、高血圧、腎臓病、脚気、小児喘息、気管支喘息、下痢、
肩こり、虫下しなどに病気の種類によって生で、又火を通すなどして用いる。何よりも和洋折衷、世界中の料理に使用されオールマイティである。加熱しても栄養分は壊れることがなく、
頼もしい食材である。3月上旬、畝幅120cm、株間30cmで2条に植える。現在農場のジャガイモは土の中で小さな芽を育み、あと幾日かで地表に顔を出し、やさしい光を浴びて光合成
により作られたデンプン質を地下茎に蓄える。そして6月には立派な芋を収穫することが出来る。その後1℃の冷蔵庫に入れ約一年間近く保存し、逐次出荷しながら皆様の食卓に届けら
れる。
今日もまた春の長い一日が終わろうとしている。畑の除草を終日行う。昔ながらの農法で鍬で草を削る作業をするのは当農園と協力農家ぐらいであろうか。春の朝日は希望と勇気を
もたらし、夕日は疲れた身体をやさしく包み込む不思議な光である。夕方、大空を飛び交った鳥は巣へと帰ってゆく。途中、ほその大木で羽を休め、美しい声で仲間と語り合う。夕日に
映る姿はこの上なく可愛く美しい。都会では一日の仕事を終えたおやじ鳥が居酒屋にて疲れた羽を休める。
仕事を終え帰途に着く。混み合った道中、車は吉野川に差し掛かる。春の夕日が河面(かわも)を光り輝かせる。河川の美しい風景に見入る。と同時に先日の学習会を思い起こす。
美しく見える川の水にも大量の合成洗剤や農薬が含まれていることを思うと、悲しさと共に胸が締め付けられる思いがする。近い将来、美しい川で子供たちが安心して水遊びをしている
風景を想像しながら、車は橋の中ほどに差し掛かる。川の南の堤防に目をやると、皮肉にも大きな文字が掲げられていた。
「清流はわが故郷の宝なり」
ふきのとうが可愛い花を咲かせる農場より
「梁瀬義亮記念資料室」についての経過報告
平素は慈光会の運動に御支援、御協力を賜りまして誠に有り難うございます。
記念資料室につきましては、確認申請の許可が下り、4月中旬には着工の運びとなりました。秋頃には完成の予定です。
今後ともどうぞ宜しくお願い申し上げます。
五月の仏教会のお知らせ
五月の仏教会は、下市 西迎院 ご住職 中村 晃和先生にご法話を聞かせて頂きます。
皆様、是非ご参加下さい。
日時・・5月14日(日)午後1時30分より
場所・・慈光会館(販売所二階)