そこで、生命力についてですが、私はあと何年経ったら死ぬと、天の神様は御存じです。皆さんも同じだと思うのですが、僕はそのことを知らないから知らぬが仏でおりますが、やはり寿命ということを考えなければいけないのです。まず、「人間は死ぬんだ」ということを知っておかねばなりません。八〇になってもまだあれこれごうたく言う人は、寿命が終わって死ななければならないということを知らない人です。これは本当にいけません。
以前、八〇歳位の人が私に「私は、あなたの言うように、一所懸命に健康法守っているのに、一向に丈夫にならない。」と怒って小言を言ったことがありました。私は「そりゃあなた、八〇にもなったらやはりいいかげんだめですよ。」と言ったのですが、これは、寿命ということを知らないのです。
人間には持って生まれた寿命と、生命力(抵抗力)があります。寿命は長いけれど、抵抗力の弱い人もおりますね。「柳に雪折れなし」と昔から言いますが、グニャグニャグニャ、年中頭痛いとか、腹痛いとか言いながら、長生きする人がいますでしょう。ところが逆に、抵抗力はあるけれど寿命が短い人もおりますね。松がボキンと折れるように、大変達者であった人が五〇でコロッと死んだ、と言うような人もいます。
それからもう一つ、この生命力を決定する要素に生活というものがあります。我々が持っている生命力を活性化する人間の営みが生活です。大変強靭で、寿命も抵抗力もある人でも、生活が悪くて、例えば、ろくなもの食べなかったら、やはり死んでしまうでしょう。生活ということが大変大事です。
この生活というものに二つあります。一つは所謂、物質的あるいは肉体的生活です。これは、形のあるもので、形而下的といいます。もう一つは形の無い人間の精神生活、形而上的生活があります。その精神生活の中に二つあります。一つは頭で思うことです。腹立てたり、悲しんだり、喜んだり、考えたりといった、意識に上る精神生活です。もう一つに無意識の世界があります。例えて言いますと、忙しいとついおなかもすかなくなるでしょうし、悲しいことがありますと食欲も減退します。自分で意識しなくてもひとりでにそうなります。そういう意識に上らない精神生活があるのです。
さきほど、寿命と抵抗力というものは、生まれつきのものであると申しました。これは、医学の領域を離れているかもしれませんが、実はその生まれつきに持ったものをさらに強化していただきたいと思って、仏教会を開催させて頂いております。そういう方法があるのです。例えば、非常にいいことをしていると、人に好かれます。悪いことをしていると人に嫌われます。好かれるという幸せ、嫌われるという不幸せ、これが、いいことをする、悪いことをする、という行動によって決まってくるのです。これは我々の行動で、持って生まれた運命が変わるということです。そのような訳で、寿命とか抵抗力とか、生まれつきだから人間がどうすることもできないはずですが、これを何とかしてより改善したい、というのが私たちが仏教会をさせて頂いている大きな目的のひとつです。しかし、どれだけ改善してもいつかは死ななければなりません。今までのことが全て御破算になるのですから、死ぬほど情けないことはありません。それで、この「死」という問題を克服する道を追求することも、さらに大事な仏教会の仕事でございます。そういう訳で、仏教会をやらせて頂いています。「死」は克服できるのです。単に心配しないようになるとか、諦めるというような意味の克服ではなくて、もっと積極的に克服できるのです。或いは、寿命も延びることができる。こういうことはありうる訳です。これは、今日のお話しとは、別なのですが……。
結局、生活を正しくすることによって、私たちは健康を保ち、病気を減らしたり、無くしたりすることができるのです。医学で、何カロリー要るから、何カロリー食べなくてはいけないとかいいますが、例えば食べ物を例にとりますと、食べ物というのは、次に申すような役割があります。
ここに一つのオートバイのエンジンがあるとして、これを人間としましょう。ガソリンが要ります。このガソリンが寿命や抵抗力に該当します。人によっては、ものすごく沢山ガソリン持っている人もいれば、あまり沢山持っていない人もいます。大体、六〇から七〇、八〇歳まで、生きられるガソリンを持っております。生活というのはオイルだと思うのです。オイルを入れませんとガソリンがなくならなくてもエンジンが駄目になります。オイルが切れるということは 食べ方が足らない。所謂欠乏で、アフリカの子供達のように欠乏する、という意味。 食べ方のバランスが悪い。例えばビタミンが欠乏するとか、タンパク質が欠乏するとかいうことです。こういうことが起こりますと、オイルが切れて来るわけですから、エンジンがうまく回りません。このように、エンジンがうまく回らなくなって来たのが病気です。ついに止まってしまったら、死んでしまう訳です。
仏教会会場への階段に足をかける度に、梁瀬先生がご病苦の中、御説法のためにこの階段を登られたお姿がハッキリとよみがえって参ります。一歩々々手摺りをもたれて、ゆっくりゆっくり登られ、途中でしばらくお休みになられ随分お苦しそうで、胸がしめつけられる思いがいたしました。こうして私共のために、ご病苦をおして仏道をお説き下さいましたこと、勿体なくて言葉もございません。
平成五年五月一七日に大往生遊ばされてから早や四年が過ぎました。先生とのお別れを惜しんでみんな号泣致しました日のこと、ついこの間のように思えます。先生のご命日にあたり、今一度、先生のご教示を振り返り、お徳を偲ばせて頂きたく、拙いペンを執らせていただきましたことお許し下さいませ。
無有恐怖(むうくふ)(先生からのお手紙)を拝読する度に、御生前、後々の者のために親切丁寧に信心の道をお説き下さった、その温かいお心にかたじけなくて涙するばかりでございます。先生が御一生をかけて御精進下さいました仏道を分かりやすくお説きいただき、本当に有り難いことでございます。
近代文明の矛盾が次々と姿をかえて私共の身近に迫ってきて、考えれば考える程恐ろしいことばかりです。先生御在世であればどんな風にお導き下さるだろうか? 折につけ事につけ「先生」と叫びたくなるような機会が度々です。先生は「どんな時でも案じることなく仰信仏陀の道を勇気を出して進みなさい。」と申されました。先生のお蔭で仏縁をいただきましたことに感謝しつつ毎日を祈りの中で生きさせていただきたいと改めて思います。
「修證義はくり返しくり返し拝読して下さい。実に仏道の基本がハッキリと示されています。」とおっしゃられたこと、忘れることの多い毎日ですが、一日一日を大切に生きさせていただきますことが、先生への報恩の道と存じます。
咳をおして夜分御指導いただいた農業研究会の席でも「どうぞよろしくお願いします。」とくり返し申されましたこと、最後まで慈光会のことを案じて下さいましたお言葉が忘れられません。田圃(たんぼ)に出ても食卓の前でも先生の温かいお言葉と慈光会の有り難さが忘れられず、何度も語り合っております。私共夫婦も七十歳を過ぎて体力の衰えを自覚しつつも無農薬有機農業のすばらしさに今更ながら感動しております。現在こうして生かしていただいていることは先生のお救いのたまものであることを、努(ゆめ)忘れることは出来ません。命をいただく限り、この無農薬有機農業に微力ながら精進させて頂きたく存じます。
せめてもの心の頼りとおすがりしていました梁瀬先生の奥様も昨年末、先生のお後を追われて、すっかり淋しくなりました。でも先生や奥様の御往生により生命の永遠を分からせていただきました。お浄土から慈光会の歩みを見守って下さっていることと存じます。
御冥福をお祈り申し上げてペンを擱(お)かせていただきます。合掌
横浜国大環境科学研究センターの実験データによれば、サランラップ(注:クレラップも同じ「ポリ塩化ビニルデン製」)を使って食品を覆った場合、加熱すると、添加物のアセチル・クエン酸トリブチルが溶け出してくることが分かりました。表をご覧になって下さい。電子レンジの加熱時間が長く、加熱温度が高いほど、沢山溶け出すという結果が出ています。その際に、食品に含まれる油分が多いほど沢山溶け出すというデータも出ました。
この添加物は毒性は弱いそうですが、アレルギーや化学物質過敏症を持っている人は勿論のこと、一般の人も、体に化学物質を取り込まない方がよいことは、今日では誰にでも知られている事実です。
「食品と暮らしの安全」(日本子孫基金発行)によれば、ポリ塩化ビニルデンや塩化ビニル樹脂を材料としたラップは避けて、使うのなら「無添加ポリエチレン製」のほうが、安全で環境にも優しいとのことです。(安全である上に、燃やしたとき有毒な塩化水素やダイオキシンが発生しない)「ポリラップ」「ワンラップ」「ポリエチレンラップ」などの商品名で大きいスーパーや薬局に売っており、価格もサランラップの半額くらいだそうです。密着性がないのと、レンジにかけたとき溶けることがあるのが欠点だそうですが。安全だと言っても、溶けるのはやはり気がかりです。電子レンジで温める時は、専用の蓋で食品を覆うとラップを使わずに温める事ができますし、冷蔵庫に保存する時も、密封出来る容器に移し替えれば、ラップを使わずにすみます。常温でも、ポリ塩化ビニルデン製のものからは、ごく僅かですが、添加物が溶け出すと言うデータも出ています。やはり出来るだけ、ラップを使わずに暮らす工夫が必要でしょう。やむを得ない時のみ、ポリエチレン製のものを使うことにしたら、溶け出す添加物の心配も環境への悪影響も減らすことが出来ると思いますが、いかがでしょうか。
慈光会直営農場、及び協力農家特産の完全無農薬有機栽培の梅を(大梅、小梅共)をおわけします。梅干し、梅ジャム、梅ジュース、自家製梅肉エキス、梅の丸ごと煮など大変美味しく出来上がります。昨年のO157の事件以来、梅の効用が見直されています。安全な材料で、安心出来る保存食作りにチャレンジしてみませんか。
予約が必要ですので、詳しくは販売所までお問い合わせ下さい。
梁瀬先生の最晩年の著書「死の魔王に勝て」の英訳本が、マーク・カプリオ氏と内藤ゆき子氏のご尽力により、この度、完成致しました。この本は「仏陀よ」の英訳本と同じように、世界各国の図書館に寄贈させて頂く予定です。それに先立ち、ご希望の方にお分け致します。梁瀬先生は、難病で苦しんでおられるお方や、生死巌頭に立っておられる方に、この本を読んで頂きたいと願っておられました。この本を寄贈出来る施設(病院、ホスピス等。但し英語の通じる国で。)を御存じでしたらお知らせください。
一般販売価格 一冊 七五〇円