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健康の話 (5)
  

梁瀬 義亮


 

それから、意識の世界… 我々日常生活をしていますが同時に感情的な生活があります。好きだとか嫌いだとか、うれしいとか悲しいとか色々あります。その感情生活というのは知らないうちに私達の生命のもとになる自律神経とか内分泌系に影響を及ぼすのです。だからいつでも腹をたてながら生活をしていたり、反対に恐れながら心配ばかりして生活をしていたりすると、リューマチが出たり胃潰瘍になったりします。それに対して気楽に生活していると自律神経が安定して割に病気にならないのです。慈光会にもおいでになって一生懸命に気を付けているのに風邪をひくとか腹をこわすとか言う方がおりましたが、この方は純正なものを食べていただくのは結構なのですが、その性質が非常に神経質で年中ピリピリしているためです。これを直していただかなくてはいけないのです。しかし、反面ヨーロッパでは、胃を悪くするような人にならなければいけない、言い換えますと、胃潰瘍にならないような人間はろくな人間ではない、と云う意味の言葉があります。どういう事かといいますと、言いたいことを言い、したいことをし、人のことをあんまり考えない人は案外達者です。そしていい人で、よく気が付いて人のことを考える人が案外胃を悪くして、便秘したり下痢をしたり腹をこわしたりします。そのことをヨーロッパの格言が言っているのです。しかし願わくは、よく気が付いて優しくて人のことを思って、しかも悠然としている人にならなくてはならないのです。仏教会の目的もこれなのです。鈍感で長生きするのは、これはあんまりいい長生きではありません。そういう人は長生きはするけれど死ぬとき楽にいかない場合があります。そういうことが多いのです。 いつも親切で人のことを考えてくれる人で、しかも、いつでも心が安定した人間にならないといけないと思うのです。しかし、そのようになるのは、猫の首に鈴をつけに行くネズミの話みたいなものだと云ってあきらめる人もいますが、必ずなれます。私は立派だけれども動じないという人をよく知っています。そういう人にならないといけません。そうなろうと思ってご一緒に仏道修行させていただいている訳です。

この自律神経の安定に大事なのは静けさなのですが、今の世界には残念ながら静けさがありません。それから自然が自律神経の安定に役立つのです。私は昔のお百姓さんのおじいちゃんやおばあちゃんの中に本当に優しい立派な人がおられたのを覚えています。こういう人は自然の中で鍛えられて、自然の中で知らない間に修行が出来ているのです。穏やかで優しくてよく気が付いてしかも何もジタバタせず非常に安定し、そして長生きなさって立派な往生なさる方がありました。何人か知っていて今でも思い出します。これはやはり自然と静けさ、労働のお陰なのです。

今日はベートーベンの曲を聞いていただこうと思います。これからも時々、ベートーベンその他、ショパンや色々な曲をご紹介しますが、クラッシック音楽の基本は静けさです。画家の花野五壌先生が「梁瀬さん、私がウィーンへ行った時、あの大きな町で、夜、“シーン”と音が聞こえるんだ。さすが音楽の都だと思った。この静けさがあるから音楽があるんだ。それはちょうど、私が絵かきだから言えるのだけれど、何も色がないから絵が描けるのと同じなんだ。真っ白だから絵が出るのであって、色がついていたら絵にならない。それで、この静けさというものがこんなに良いものだということを、ウイーンで知ったんだ。」とおっしゃた事を思い出します。先日の慈光通信に、渡辺さんの月光の曲の第一楽章の話がありましたが、私は、その静けさがなくなってもクラッシック音楽の中に、静けさも、自然も、そして暖かさも、もっとレベルが上がってくると真理の光も、みんな出てくるのだと思うのです。そういう意味でこの会の皆様とのお話しの中で、ベートーベンを中心にしたクラッシック音楽を聞いて頂こうと思います。ベートーベンの音楽には特にこの真理の光が強力に出てくるのです。ベートーベンの言葉に、「世の悩める人、病める人の為に捧げられよ」という有名な祈りの言葉があるのですが、確かにそういう人達に、彼の音楽が捧げられていることを感じるのです。私は、昭和二十二、三年頃、尼崎で公害喘息になり同時に結核性の肋膜炎になりました。当時は結核が随分流行りまして、私の受け持ちの患者も結核ばかりでした。重症の開放性結核患者ばかりが相手で、そのうえひどい公害喘息にはなるし、食べる物もないものですから栄養はどんどん落ちて、「日に日に痩せていくのが目に見えた。」と看護婦さんが言っておりました。それでも私は一生懸命働いたものですから、肋膜炎になりました。もうだめかと思ったその時に、たまたまラジオでベートーベンの音楽のシリーズが始まりました。そして、それをじっと聞いているうちに病気が治ったのです。こういう事もあるのです。

所謂ベートーベンの音楽と云うのは不思議な音楽で、真理の光があり、それによって生命力がぐーんとかき立てられてくるような作用があります。私は高校一年生の時、仏教の勉強がうまくいかず、色々なことでノイローゼになり神経衰弱のようになってしまい、そのとき初めてベートーベンの交響曲五番と六番とを聞き、生き返ったことがあります。それ以来、ベートーベンを慕い続け、求め続けて来た一生で、常に助けられて参りました。それに私にとっては、仏道の悟りを求め修行させて頂くについても、高い高い世界が説かれた仏道と、我々の低い世界との橋かけをして頂けるので、ありがたいことでございます。

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食品添加物はどのくらい危険」
  

慈光会会員 井西 治

(1997年5月) 
 

そしてその同じ頃、農業行政の分野でも信じられない事態が進行していました。その事態とはどのようなものであったのか、それは梁瀬先生の「生命の医と農を求めて」に詳しく書かれています。それは又「近代農法は死の農法だ」と宣言し「生命の農法を」と叫ばれた警世の書でもありました。  疫学専門家が「つくづく世間では添加物が理解されていない」と嘆きますが、私には納得できません。しかし素人の私には学問的な反論は無理、やはりお二人が専門家としての立場から発言されている書の中にその理由を求め、引用、活用させて頂くこととします。

(生命)…七七頁 《農薬による慢性中毒について…慢性中毒に関しては現在の医学は永らく気が付かず、従ってこれに関する知見は甚だ少なく、僅かに急性中毒からの類推に過ぎないくらいの知見しか未だに持っていない。  一般に慢性中毒は毒物が徐々に体内に蓄積して、ついに一定量以上に達した時起こるものとされている。水俣や阿賀川流域の水銀中毒や神通川流域のカドミウム中毒(イタイイタイ病)がその例である。人間の排泄能力の範囲内の微量毒物は、たとえ連続摂取されても次々に排泄されて、体内に蓄積が起こらないから慢性中毒は起こらないものとされていて、これを許容量とか、許容量以下などといっている。  又、微量の有機剤のように、体内で分解されてしまうものは、同じ理由でたとえ連続摂取されても慢性中毒はないとされている。  しかし私は、永年の農薬の慢性中毒患者の診断経験から、慢性中毒には「毒物自身の蓄積」によるもの以外に、もう一つの形があることを知った。それは「作用の蓄積」である。  毒物自身の体内蓄積が起こらなくても、その毒物が体内を通過することによって起こってくる、或いは毒物が体内で分解される過程中に起こってくる人間の体細胞の軽微な障害が、つもりつもって慢性中毒を起こす。これが「作用の蓄積」である。上述の「有機燐系の農薬の微量連続摂取による慢性中毒はない」という学説は誤りで、現実に脳細胞に異常が起こり、記憶力、思考力の低下、いわゆる「ぼけ」や、厭世観、自殺願望などの異常精神症状、肝臓、腎臓、副腎、甲状腺などの機能障害や組織的変化が起こるのである。  だから慢性中毒については、許容量というのはナンセンスである。更にその上、多くの毒物の同時侵入による複合汚染からくる相加作用や相乗作用、或いは、各個人の感受性の差、遺伝子に対する影響などを考えるとき、許容量ということは、こと慢性中毒に関する限り、全く無意味であることがわかる。》
先生はこのように従来の学説を誤りと指摘され、従って許容量の設定は無意味と断定しています。一般に許容量という言葉は有害物質の危険度を示す数値として使われていますが、先生の学説のとおり、それがナンセンスであり無意味だとすれば、化学物質による食品添加物についても同じことが考えられますので、私たちは毎日の食生活で余儀なくされている食品添加物の微量連続摂取が、如何に危険であるかが分かります。

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ジュースを選ぶときご注意ください!
   
 

 暑い暑いと言って冷たく冷やしたジュースを沢山飲む季節がやってきました。子供たちも、自動販売機で自由に買って飲んでいるようです。  けれども、ジュースを選ぶとき、十分その中身にご注意下さい。  「オレンジジュース一一本中五本から、又グレープフルーツジュース七本中五本からポストハーベスト農薬が検出されました。」(食品と暮らしの安全 NO99 より抜粋) ここでは、発癌性のあるOPP、発癌性と遺伝毒性のあるイマザリル、催奇形性のあるTBZが検出されています。又、「横浜国大の検査では(過去に)リンゴジュースからも二種類の農薬が検出されています。」(同誌より)

 即ち果汁の入ったものは要注意と考えていただいたらよいでしょう。有機栽培と確認できるものになさって下さい。特に果汁一〇〇%のものは心配です。

もう一点、市販の缶ジュース一本に含まれる白砂糖は、一日の砂糖摂取量を優に越えています。白砂糖を沢山摂取すると、体からカルシウムが奪われますから、体がだるくなり、精神的にもイライラし、不安定な状態になります。それでなくても日本は、カルシウム摂取量が世界の中でも一番少ない国に数えられています。骨粗鬆症にかかっている人が、人口の約一割、一〇〇〇万人にも上るのはその証拠といえましょう。お年寄りだけではありません。若い人の間にも骨粗鬆症は広がっているのです。又、カルシウムが不足すると、高血圧、動脈硬化、ガン、糖尿病、痴呆などの成人病にかかりやすくなり、寝たきりになる可能性もグンとアップします。ですから、飲み物には、なるべく白砂糖を含まないものをお選び下さい。

農薬と、白砂糖の害と、この二点は、是非、子供達にも知っておいて欲しいポイントです。一番ジュース類が好きなのは子供達ですから。

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