私たちが「毎日戴く食事を作るという事」は、「ホームマネージメント」(家庭管理)ではなく、「ライフマネージメント」(生命の管理)であると指摘した料理研究家がおられます。日々の食事の安全性とバランスに心を砕くことは、私たちが思っている以上に、人生、生命にとって重要な働きを担っている、という意味なのでしょう。子供達の問題行動に、食事の内容が大きく関わっていることが明らかになったわけですから、食事を作る人の役割は、本当の「ライフマネージャー」であることを再確認したいものです。
子供たちの現在の様々な問題は、とかく精神論や、教育論で云々されがちですが、その根底に食べ物の問題が深く係わっているという医者や専門家の指摘に、もう一度耳をかたむける時が来ているのではないでしょうか。
再生紙使用は従来通りですが、宛て名を書く場所が二カ所でき、再使用(リユーズ)できるようになります。二度目に使う時は、先に書いてある宛て名をバツ(×印)で消して下さい。郵便局に問い合わせたところ、既に宛て名が全面に書いてあって、さらにもう一度使いたいときは、上に無地の紙を貼り付けて使ってもよいとのことでした。そのように工夫すれば、慈光会の封筒は三回使えることになります。封をはがすときは、再使用できるように慎重に。最後は、古紙リサイクルに出してください。
県下のグループには、月謝袋のように使える印刷を施しました。繰り返して一〇回使えるようになっています。
かけがえのない木から作られる紙。大切に使わせていただきたいと願っています。
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(レイチェル・カーソン著)
慈光会会員 井西 治
(この文章の形式
『』のマーク 本文引用箇所
↓のマーク 筆者の感想 )
恐るべき人間という一族
『この地上に生命が誕生して以来、生命と環境という二つのものが、たがいに力を及ぼしあいながら、生命の歴史を織りなしてきた。といっても、たいてい環境のほうが、植物、動物の形態や習性をつくりあげてきた。地球が誕生してから過ぎ去った時の流れを見渡しても、生物が環境を変えるという逆の力は、ごく小さいものにすぎない。たかが二○世紀というわずかなあいだに、人間という一族がおそるべき力を手に入れて、自然を変えようとしている。
ただ自然の秩序をかきみだすのではない。いままでにない新しい力…質の違う暴力で自然が破壊されてゆく。ここ二五年の動きを見れば、そう言わざるをえない。例えば、自然の汚染。空気、大地、河川、海洋、すべて恐ろしい、死そのものにつながる毒によごれている。そしてたいていもう二度ときれいにならない。食物、ねぐら、生活環境などの外の世界がよごれているばかりではない。禍いのもとは、すでに生物の細胞組織そのものにひそんでゆく。もはやもとへもどせない。
汚染といえば放射能を考えるが、科学薬品は、放射能にまさるとも劣らぬ禍いをもたらし、万象そのもの…生命の核そのものをかえようとしている。』(引用A)
↓地球に生命体が誕生したのは四○億年ほど前だそうですが、生命と環境は微妙なバランスを保ちながら生存に快適な自然を造り上げてきました。本当に想像を絶する長い時間をかけてです。ところが、たった二○世紀の間に恐るべき力を手に入れた人間という一族が、その自然の素晴らしい秩序を、急激に変えようとしている。それは自然の破壊であり、生命体存続の危機へつながる、というのです。私たちが求め続ける快適さへの欲望の果ての代償なのでしょうか。カーソン女史の言葉は、ずしりと胸にこたえます。
『実験で空中にまいあがったストロンチウム90は、やがて雨やほこりにまじって降下し、土壌に入りこみ、草や穀物に付着し、そのうち人体の骨に入りこんで、その人間が死ぬまでついてまわる。だが化学薬品もそれにまさるとも劣らぬ禍いをもたらすのだ。土壌深くしみこんだ化学薬品は地下水によって遠く運ばれてゆき、やがて地表に姿を表すと、空気と日光の作用をうけ、新しく姿をかえて、植物を滅ぼし、家畜を病気にし、きれいな水と思って使っている人間のからだを知らぬまにむしばむ。』(引用B)
↓こうして汚染された水はやがて海へ流れこみ、いわゆる「食物連鎖」の末に人体にたどりつく。今ではこの循環を常識として理解されるようになっていますが、一九六二年のアメリカ社会はまだこの警告の全てを受け入れるほどに成熟していなかったのでしょう。それどころか全米農薬協会が、この書の出版を妨害するためにマスコミや政界工作に二五万ドルの金を使い、又企業の研究開発部の学者たちが、先頭にたって、「カーソンの教えに信心深く従うなら、昆虫や病気が再び地球を引き継ぐことになるだろう」「ヒステリー女」「共産主義の回し者」などと女史への攻撃を続けたそうです。
この時期より少し前、日本では奈良県五條に、自身の肉体を実験に供しつつ農薬の害についての研究に没頭されている一人の医師がおりました。その先生のことを私が知ったのは、やはり有吉佐和子さんの「複合汚染」でした。有吉さんはその書の中で、先生との出会いをこのように紹介しています。
「私がこの仕事(複合汚染の執筆)にかかってから出会うことのできた最も立派な方を、今日から紹介いたします。レイチェル・カーソン女史がDDTに代表される殺虫剤は生物界の秩序を乱すと警告して『サイレント・スプリング』を発表した一九六二年(昭和三七年) 。それより一年も前に日本では奈良県五條市の一開業医が『農薬の害について』というパンフレットを自費出版していた。」有吉さんが最も立派な方と紹介されたその方が梁瀬義亮先生でした。
(以下、次号に続く)